税務調査とは


◆納税申告のチェック

税務調査とは納税の申告が正しく行われているかを調査することです。日本においては、所得税、法人税、消費税、相続税等は申告納税制度を採用しており、税金を納税者自らが税額を計算して、税務署等へ申告納税する方式をとっています。行政はこれらの申告が適正に行われているかを一部の納税者について抜き打ち調査するわけです。質問検査に関する権利は法律に規定されており、個人事業主や法人は、税務調査が来たら、これを避けることはできません。

◆強制調査
強制調査とは、国税局査察部(マルサ)が脱税の疑われる悪質な納税者に対して、裁判所の令状を得て強制的に行う税務調査のことです。

◆任意調査
これに対して、一般的に行われるのは任意調査といわれるもので、国税局資料調査課や国税局調査部、管轄税務署の調査官により、納税者の同意の下で行われます。一般的な税務調査のほとんどは、この任意調査で、担当調査官は税金に関する質問を納税者に行える「質問検査権」を有しているため、納税者はこの質問を黙秘したり、虚偽の陳述をすることができません。

◆税務調査の事前連絡はありますか?
任意調査が実施される際には、納税者またはその関与税理士あてに、電話で事前通知されるのが一般的です。そこで提示された日程については、都合が悪ければ変更することができます。ただし、現金で商売を行う事業者に対してなど、帳簿書類等を含め、ありのままの事業実態の確認を行う必要がある場合には、事前通知なく抜き打ちで調査することもあります。

◆税務調査の規模は?
管轄税務署が行う一般的な任意調査の多くは、1名ないし2名で通常2日くらいで実地調査が行われます。一方、事前通知なしに調査を行う際には、10名以上で調査に当たるのが一般的です。

◆どんな会社に税務調査が来るの?
税務調査の対象となるのは、追徴税額が見込まれるような納税者で、次のような場合が想定されます。
(1)前回調査からのあるていどの年数が経過していること。前回調査または設立日から5期以上経過している会社は対象となる可能性が高い。
(2)申告において以下のような異常計数が目立つ会社。売上が増加しているにもかかわらず、営業利益や申告所得が減少している会社や、例年に比べて多額の経費計上がある会社など。
(3)資料情報がある会社。税務署は企業に対する資料情報は蓄積しており、その資料を基に税務調査が行われるので、資料情報が豊富にある会社は税務調査候補に選ばれる可能性が高い。
(4)前回調査で脱税行為(重加算税対象)を行っていた会社。そのような会社は候補に選ばれやすい。
(5)長期未接触法人。前回調査から5期(年)以上経過しており、ある程度の売上金額や申告所得がある企業は、会社の状況の確認という意味合いで税務調査実施の候補に選ばれやすい。

◆税務調査後の結末
(1)修正申告・更正
税務調査の結果、申告内容に間違いがある場合は、自主的に修正申告をするか、あるいは職権で更正が行われることになります。その場合には本税に加えて、加算税(過少申告加算税・無申告加算税)、延滞税の納付を要することになりますので、注意しなければなりません。
(2)申告是認
納税者の申告内容に間違いがなかったことをいいます。特段の指導事項もなかった際には問題はありませんが、申告内容の誤りなどには至らないものの、今後の申告や帳簿書類の備え付け、記録、保存に関して指導事項がある際には、その旨の説明や指導が行われます。