相続税に備える


◆平成27年より相続税が大幅増税!

今回の改正の特徴は、相続税の元となる基礎控除の引き下げによって課税ベースが下がることになり、課税対象者が大きく広がり、「富裕層の税金」とのイメージが強かった相続税が、中間層にとっても身近な税金になったことでしょう。財務省の試算によれば、課税対象となる割合は、改正前4.2%から改正後には6%に増えると予想されております。東京23区に至っては4人に1人(25%)が課税対象になるという試算もあります。これまで相続税に無縁だった方々も、これからは相続税の節税対策を考えなければならない状況になっていると言えます。

◆相続税額の計算
相続税の計算において、相続、遺贈より取得した財産は100%課税されるわけではなく、以下のような控除があります。

(1)相続税の基礎控除
基礎控除とは、3000万円+法定相続人1人あたり600万円×相続人の数で計算されます。→配偶者と子供2人というような家庭の場合、4800万円までは相続財産より控除されますので、相続税はかかりません。

(2)相続税の配偶者控除
配偶者控除とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。相続税の配偶者控除枠は1億6,000万円。配偶者の法定相続分は、例えば、配偶者の法定相続分が2億円であれば、2億円までが非課税となり、法定相続分が1億円であれば、1億6,000万円までが非課税となります。

◆節税のポイントは?
相続財産の評価額を引き下げることが節税のカギとなります。相続税額の計算は、相続財産の評価を含めてやや複雑ですが、単純に考えれば、上記のように相続や遺贈によって取得した財産が、相続税の基礎控除、配偶者控除以下の場合は、相続税は課税されません。

そして、上記で計算された控除額を超えるような場合、累進的に課税率が上がっていき、最高で税率55%の相続税が課税されます。相続税の節税のカギは、相続税の課税価格である相続財産の評価額をいかに引き下げるかに尽きます。相続税法においては、財産の種類によって評価方法が定められているので、種類の組み合わせによっては時価よりもかなり低く評価されることもあります。

例えば、全額が課税対象となる預貯金と比較すると、不動産(建物、土地)については、土地の評価額の基礎とされる路線価と呼ばれる価格評価が、実際に流通している相場価格より低く設定されています。土地の価額については公的時価として、公示価格、路線価、固定資産評価額等がありますが、公示価格を100%とすると相続税の評価の基準となる路線価は約80%、固定資産評価額は約70%となっています。

また、土地については、その形状、使用形態によって評価減が計上でき、一定面積以下の小規模宅地等については特例等により、課税額が時価に比較してかなり低めに計算されます。

したがって多額の現金預金を保有している方は、次のような節税策が考えられます。

(1)贈与税の非課税の特例を利用して、将来の相続人に生前贈与する
(2)不動産の評価減の特例等の利用により、相続税評価額の有利な財産に変える
(3)生命保険等非課税財産に変える(相続人1人あたり500万円の非課税限度額)

当事務所では、相続税の節税相談を随時受け付けております。不安をお感じになっている方は、お気軽に当所までご相談ください。不動産に強い税理士が親身になってアドバイスいたします。