確定申告は必要か?(2)
こんにちは。IAU税理士法人の沢井です。
所得税の課税方法には
「総合課税」と「分離課税」の
2種類があります。
≪総合課税≫ は
「決められた種類の所得を合算して税金を算出」します。
つまり
まず所得を合算し、
そこから所得控除を引いたものに
税率を掛けて税金を計算する課税方法で
確定申告が必要です。
対象となる所得には主に、
不動産所得、
事業所得、
給与所得、
一時所得、
雑所得、
などがあげられます。
一方、≪分離課税≫ は
「決められた種類の所得をそれ単体で税金を算出」します。
つまり、その所得に税率を掛けて計算します。
分離課税はさらに
【申告分離課税】と【源泉分離課税】との
2種類に分類されますが、
申告分離課税は、確定申告が必要。
※家を売った譲渡所得などが対象になります。
源泉分離課税は、確定申告は必要ありません。
では次に、総合課税を対象とした
具体的な事例をみていきましょう。
・Aさんは会社員、給与収入600万円
・パートをしている奥さまの給与、98万円
・19歳お子さんがひとりの3人家族
・お子さんの学費用に掛けていた学資保険が
満期になって300万円の保険金を受け取った。
払い済み保険料は279万円。
・歯医者の医療費(自費分)が55万円かかった
さて、このようなケースでは
確定申告はしなければならないのでしょうか?
もしくはした方お得なのでしょうか?
まず、Aさんの給与所得については
勤めている会社による年末調整が済んでいます。
満期の保険金は、一時所得になりますので、
計算式に当てはめてみましょう。
一時所得=(満期保険金300万-払い済み保険料279万-50万)×1/2
満期保険金から払い済み保険料を引くと
50万を下回っていますので、確定申告の必要はありません。
ですが、医療費が年間55万円かかりました。
これについては医療費控除ができますので、
確定申告しない場合とした場合の
税金を計算してみましょう。
●Aさん給与収入 600万
(年末調整済み、社会保険料控除88万円、源泉徴収税額 10万3600円))
●奥さんのパート収入 98万
※103万以下ですので、配偶者Aさんの扶養配偶者に該当し、
Aさんは配偶者控除38万円の控除が受けられます。
これがいわゆる103万円の壁です。
●お子さんの年齢19歳
※19歳以上23歳未満ですので特定扶養親族に該当し
63万円の控除が受けられます。通常の扶養親族だと、
控除額は38万円です。
●給与所得→426万
※給与所得控除額600万円×20%+54万円=174万円
600万円-174万円=426万円
ここから差し引かれる金額(所得控除)
配偶者控除38万円、
扶養控除(特定)63万円、
社会保険料控除88万円、
基礎控除38万円、
合計227万
確定申告をしない場合、
課税される所得金額は…
給与所得426万円-控除合計227万円=199万円
所得税額は199万円×10%-9万7,500円=10万1,500円
さらに復興特別所得税が10万1,500円×2.1%=2,131円
(税額は100円未満切捨てなので 2,100円)
合計10万1,500円+2,100円=10万3,600円となります。
確定申告をすれば、
さらに医療費控除が受けられます。
所得金額は199万円から、
医療費控除(55万円-10万円)=45万円 を引きますので、
課税される所得金額が154万円に減ります。
所得税額は、197万円超は税率10%ですが
197万円以下は税率5%、になりますので、
154万円×5%=7万7,000円
復興所得税が7万7,000円×2.1%=1,617円
(百円未満切捨てで1,600円)
合計で7万8,600円
つまり、所得税が、2万5,000円減ります!
さらに、課税所得が減ると
所得税だけでなく、住民税(所得×10%)も減ります。
(199万円-154万円)×10%=4万5,000円
合計で7万円も税金が少なくなりました!!
Aさんの場合は
「確定申告をする義務はないが、すれば7万円減税できる」
ということになります。
減税された分で、温泉旅行に行くことも可能ですよね!
Aさんのようなケースに当てはまる方は
結構いると思われますので
会社にお勤めで何か大きな出費があった方は
お気軽に弊所までご相談なさってくださいね。
(沢井)
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